Nagai Art Gallery
Since 1971

鈴木淳也 展

Junya Suzuki

会期:2025年9月17日(水)-29日(月) 日曜休廊 
10:00~18:00 (最終日16:00まで)

「明暗の交錯-麦-」 油彩 / 油性地キャンヴァス 100×65.2㎝

「11個のリンゴたち」 油彩/油性地キャンヴァス 72.7×91.0㎝

「トウモロコシ」油彩/油性地キャンヴァス 72.7×50.0㎝

「日本の夏-枝豆-」油彩/卵エマルションテンペラ/白亜地パネル 38.0×45.5㎝

「ダッチオーブン-石焼き芋-」油彩/卵エマルションテンペラ/白亜地パネル 41.0×53.0㎝

展覧会へのメッセージ

最近は静物、とくに我が家の手作りの料理や旬の食材を描いています。私にとって写実は、私の観察や解釈がどこまで実在に近づけるかを試す挑戦です。 そしてこのテーマには、「これは絵だから食べられないけど、美味しそうでしょッ」と投げかける遊び心も込めています。
 題材を問わず、私は必ず有色の地塗りを使います。写実表現では描く対象の明暗に従って描く必要があります。白い地塗りに白い絵具で描くのは困難ですが、有色地を用いれば、最初から明部に白色絵具を効果的に配置できます。この白色地から有色地への転換は16~17世紀に起こった大改革です。 私は絵具の使い方もこの時代に倣って、明部は不透明な絵具で強く、暗部は透明な絵具で軽やかに描き、油絵具の魅力を最大限に活かす写実表現を模索し続けています。

鈴木淳也

主旨

遅れてきた大型新人、デビュー個展です。

 絵画保存修復の仕事をメインとし、古今東西の名画に直接触れる機会を数多く得ることで、油絵の真髄を極め、ご自身の絵画制作に活かされています。 2022年「第5回佐藤一郎とその仲間たち展 テーマ:高橋由一へのオマージュ」で作品を初めて拝見し、白亜地からしっかり重ねていく油絵技法、由一の代表作「鮭」の現代的解釈で描かれた作品「切り分けた鮭」に、熟練の描写力という土台のうえに築かれた“揺るぎない美”を見ました。対象の素材を完璧に揃えて、見たまま味覚もイメージしながら描いた食材を中心とした絵画14点を展示します。
 また本展では実際の制作工程を写真、解説パネルで並べた様子をメタバースギャラリーでご覧頂き、合わせてご来場者がスマートフォンで音声ガイドを聞くこともできます。
 伝統的油絵の味わいを現代先端技術で鑑賞できる画期的展覧会、多くの皆様にご覧頂きたくご案内します。

永井龍之介

鈴木淳也 プロフィール

1959
東京都中央区生まれ
1986
東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻卒業
1988
東京藝術大学大学院美術研究科修士課程 芸術学保存修復技術専攻 修了
1993
東京藝術大学大学院美術研究科博士課程 芸術学保存修復技術専攻 修了
1999-2000
文化庁芸術家在外派遣研修員(保存修復) ラスティン・レベンソン美術保存研究所、 ニューヨーク大学美術保存センター/ニューヨーク
2000-2001
財団法人文化財保護振興財団在外研修員 バルボア美術保存センター/カリフォルニア メトロポリタン美術館/ニューヨーク
2001-2002
ボストン美術館/マサチューセッツ
【受賞歴】
1983
第1回久米桂一郎賞
1991
平山郁夫賞
【現 在】
beacon art 絵画技法材料研究会(社会人絵画教室)設立、同会主宰及び講師
ACP美術保存パートナーズ(美術作品保存修復)設立、基幹メンバー
東京藝術大学、多摩美術大学、群馬県立女子大学等 非常勤講師

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