溶かした蜜蝋と顔料で描く、古代の絵画技法であるエンカウスティークは、2世紀、既にローマの属国であったエジプトのファイユーム地方で、ミイラの生前の肖像画のために使われていたが、ローマ帝国の滅亡とともに失われた。その後、18世のフランスの探検隊によってミイラが発見されると、その棺に描かれた肖像画の描画法が暫くは熱病のように研究されたが、古代の工房の秘密は解読されないまま再び忘れられてしまった。
私の使うエンカウスティークは古代の応用で、熱によって溶かされた色を使わない蜜蝋の陰影がその殆どを占めている。
赤木範陸(瓊血 )
古代ローマ以来のエンカウスティーク技法を現代に生かす第一人者の新作展です。麻布に蝋をしみ込ませることで現れるしっとりとした独特の濡れ色のマチエール、色を使わずに色を表現する独自の描写は、造形、構築、色彩のコントラストで絵画を構成する西欧アカデミズムとは真逆の方法であり、日本の水墨画に通じる作品は、現代アート界においてオンリーワンの存在として異彩を放ちます。
展示空間は、時空を超え、洋の東西を越えた妖しくも幻想的な“赤木ワールド“を現出、多くの来場者を魅了することでしょう。
永井龍之介
本企画展について、大島幸治氏より展評をいただきました。許可を得て掲載いたします。
令和元年7月1日(月)-7月13日(土)
11:00-19:00 日曜休廊
〔7/1(月)16:00~~19:00 7/5(金)11:00~17:30 7/6(土)12:30~19:00〕
エンカウスティーク、テンペラなどの混合技法による新作約20点
1988
1990
1995
1991
2001
2002
2012
2005
2007