公募-日本の絵画2016-
大賞・優秀賞 各受賞者個展
■優秀賞 大橋裕一展 2018年7月2日(月)-7月7日(土)
■優秀賞 村松泰弘展 2018年7月9日(月)-7月14日(土)
■大 賞 佐藤真美展 2018年7月17日(火)-7月30日(月)
11:00-19:00 日曜休廊
(各初日 15:00-19:00/最終日 11:00-17:00)

主旨

 2012年からスタートした「公募ー日本の絵画ー」。 隔年開催で3回目となる2016年の公募展で公募総数371点、応募者数257名のなかから 厳正なる審査の結果決定した大賞1名、優秀賞2名、各受賞者への特典として連続個展を開催します。受賞から約1年半、それぞれ研鑚を積んできた各作家たちの新作、近作の発表展をご高覧賜りたくご案内いたします。

永井龍之介   

公募-日本の絵画2016-について

〈テーマ〉自然・人間・自然と人間
〈審査員〉佐々木豊・千住博・布施英利・永井龍之介
〈応募資格〉不問

< 公募-日本の絵画2016-各審査員作品評 >

会期

優秀賞2名、大賞1名の個展を2018年7月2日(月)-7月30日(月) まで順次開催いたします。

■優秀賞 大橋裕一展 2018年7月2日(月)
-7月7日(土)
大橋裕一-プロフィール

■優秀賞 村松泰弘展 2018年7月9日(月)
-7月14日(土)
村松泰弘-プロフィール

■大 賞 佐藤真美展 2018年7月17日(火)
-7月30日(月)
佐藤真美-プロフィール

11:00-19:00 日曜休廊
(各初日 15:00-19:00/最終日 11:00-17:00)

< 作家プロフィール >

佐藤真美/Mami Sato

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大橋裕一/Yuichi Ohashi

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村松泰弘/Yasuhiro Muramatsu

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< 公募-日本の絵画2016-各審査員作品評 >

日本の絵画2016に寄せて

千住博

このコンクールの審査員は皆本当に違う価値観を持っている。だから審査員が口をそろえて良いと言う作品は、好き嫌いを超えて“評価しなければならない何か”を内在させていると言っていい。そのためにはどうしたらいいか。それは“私は”ではなく、“私たちは”という視点を持つことだ。つまりあらゆる境界を超えた、“人間”という視点だ。 それがたぶん唯一の審査員たちの共通項だからだ。そしてそれが世界の内実でもある。
大賞の佐藤真美(26)さんの作品にはアニミズムに端を発し、大和絵を経て、水墨、そしてコンテンポラリーに至る系譜を内包するかのようなダイナミズムがあり、見事だった。優秀賞の大橋裕一(75)さんの作品は寝静まった後に催される生物たちの謝肉祭のような祝祭感と、底知れぬ不気味さが色鮮やかに出現していて、圧倒された。もう一人優秀賞の村松泰弘(70)さんの作品は、 清らかな世界観が胸に残った。心は画中に吸い寄せられ、私も渓流にたたずんでいるかのような気になった。
軍配は佐藤さんの“初々しさ”に上がった。
評価があったりなかったりしても、それに一喜一憂しないで、制作を続けて欲しい。

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秀作の競演

佐々木豊

こんなに秀作揃いの審査は初めてだ。 大賞の佐藤真美の水墨画は山がそこにあるだけ。単純ゆえの明快さと力強さがある。神秘感も漂う。
大橋裕一の華麗な地獄絵は緻密さの勝利。毒々しい色彩のこの幻想世界は唯一無二。
流行の細密写実画の中では村松泰弘の「渓流に佇む」が完成度で優秀賞に。これが水彩とは驚く。
佳作賞で目立ったのは、小林正直と岡啓介。前者は足元に絨毯状に水が流れている不思議な絵だ。後者は青色の冴えとイメージの明快さで際立っていた。 小林定夫の「甲斐駒ケ岳」の写実力に脱帽。小林と岡氏にはありきたりの構図からの逸脱を望みたい。
長野哲也は流木を水平線との対比で、空間の広がりを描いている。石ころの描写一つとっても並みの腕前でないことが分かる。 中橋彰夫は果物を浴槽につめこんだ設定と、軽快な色彩に新鮮味がある。大木レイ子の奇怪な絵と、野村京香の名人芸に引きこまれた。

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「大賞の席は、まだ空いている」

布施英利(美術評論家)

第三回となる今回は、大賞が佐藤真美さんの「mountain」。力強い、存在感のある山の絵だ。大賞の受賞者にはパリでの展覧会の機会もあるということで、 東洋的な雰囲気もある作風でもあり、どのような評価が出るか楽しみだ。それと優秀賞は、大橋裕一さん村松泰弘さん。
この「公募―日本の絵画2016」は、公募形式の賞だから、選考の対象となるのは応募されてきた作品で、その中から大賞、優秀賞が選ばれることになる。 審査会場に並べられた絵を見て、上記の作品が賞に選ばれたのは、まあ順当な結果なのだろうと思った。
しかし、この賞に応募してこない、多くの優れた画家がいることも、私は知っている。大賞の佐藤さんの同世代でも、美術館や画廊さらにはオルタナティブなスペースで、優れた絵画作品を発表する将来性を秘めた若者たちが、他にもたくさんいる。 その意味では佐藤さんも受賞に酔うことなく、自分より優れた絵を描いている同世代が他に何十人もいることを自覚して、今後も精進していただきたい。
絵画は、もっとも強靭な底力を持った芸術だ。かつてマルセル・デュシャンは「絵画は死んだ」と言ったが、絵画が死んだ後に現れるのも、やはり「絵画」だろうし、絵画は今後も美術の中心的なメディアとして生き延びていくことだろう。是非とも、次回も新作を、また新たな人の応募を、お待ちしている。
なにしろ、大賞の席は、「まだ十分に空いている」のだ。

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受賞作講評

永井龍之介

大賞 佐藤真美「mountain」 F100 岩絵具、墨、木炭

理想は、太古のロマンでしょうか。そのイメージを画材の特色を生かし、造形的に描こうとしている意図は分かります。 ただ、細かい形にとらわれていて、まだ山の写しに留まっています。もっと大胆に破たんを恐れずに作画に没入し続ければ、いずれ理想郷が表れてくることでしょう。 可能性を秘めています。大自然に学び、鉄斎、等伯、雪舟、そして宋、元に倣い、スケールの大きな水墨画を目標に、一層の精進を期待します。

優秀賞 大橋裕一「地獄の花」 S50 油彩

連続入選、入賞。確かな描写力と美術史、哲学の深い教養に裏付けされたテーマ、尽きせぬ想像力から生み出される熟練の絵画は、安定感があります。 仏教をより究められて“東洋のボッシュ”としてこれからも展開が楽しみです。

優秀賞 村松泰弘「渓流に佇む」 F100 水彩

数多く応募された写実絵画のなかで、最も高い評価を得ました。 自然と人間の共存をテーマに、永遠に続く自然界の息吹きが生き生きと表現されています。 日本の豊かな自然、風土の魅力を伝える堅実な風景画です。

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